醸す日本の発酵食と「発酵フレンチ」 佐原の老舗酒蔵レストラン

日本の基本調味料は発酵食

古来より日本は稲作を中心とした暮らしの中、自然の恵みである食物を無駄なく長期保管するために、発酵の力を使ってきました。発酵食を代表する味噌や醤油など、日本料理には欠かせない伝統食でもあります。

今回は、健康と美容にもいい発酵食と、千葉の発酵スポットをご紹介します。

発酵の力でおいしく、体の内側から美しく

小麦のパン

発酵とは

発酵とは、目に見えない小さな微生物(酵母や乳酸菌、麹菌など)の力を借りて食物を変化させ、人間にとって安全で有益な物質をつくり出すこと。そのような微生物の働きを活かしてできたのが発酵食。

生きた酵母はパンをふっくらおいしくしてくれますね。ただ、酵母菌は高温に弱いため、60℃以上に焼いたり煮込んだりすれば死滅してしまいます。

日本は発酵大国。味噌や漬け物など、生きたまま食べることができる発酵食がたくさんあります。野菜の乳酸菌を活かした塩漬けから、糠漬け、粕漬け、麹漬け、酢漬けなど、色々な方法で作られてきました。

健康と美容効果に期待

発酵させることで酵素を生成し、ビタミンやミネラルなどの栄養素が増えて消化しやすくなり、整腸や美容、免疫力アップの手助けをしてくれます。

腸内には善玉菌と悪玉菌といわれる‪微生物がいますが、発酵食を食べることで、体内の善玉菌が増えて悪い菌の繁殖を抑えたり、有害物質を体外へ排出する働きが高まります。腸が健康になると脳の働きや肌の調子も良くなっていきます。

食べるもので身体はつくられます。バランスの良い食事に発酵食を取り入れることで、美容と健康に役立てることができます。

世界の発酵食品

チーズとワイン

発酵食品で思い浮かべるのはチーズやヨーグルトでしょうか。保存性の高い発酵食品は、世界の文明と共に発展してきたといわれています。

チーズは主に「青カビ」、ヨーグルトづくりには「乳酸菌」、ワインやパン、ビールは「酵母菌」など用いられます。

酢漬けのピクルスは「酢酸菌」の働きによってできるもので、様々な種類のピクルスが作られています。海外で野菜の発酵食というのは酢漬けや塩漬けがほとんどです。

日本の発酵食品

日本料理の和食に欠かせない味噌

日本の発酵食といえば漬け物や味噌。醤油や酒造りに欠かせない「麹菌」「酵母菌」「納豆菌」など、昔から豊富な種類の発酵菌と関わってきました。保存食、非常食というだけでなく、様々な種類の良い菌を取り入れることは身体を強くすることを知っていたのですね。

身近にある馴染み深い発酵食を大きく3つに分類して見てみましょう。

発酵調味料

塩、味噌、醤油、本みりん、酢、酒、酒粕、麹、醤など。和食に欠かせない調味料ばかりです。日本古来からある魚醬、垂れ味噌、煮貫、煎り酒なども発酵調味料といえます。

発酵食

漬け物(浅漬け、たくあん、ぬか漬け、発酵漬けなど)、納豆、鰹節、塩辛など。自然塩で漬けた梅干しも植物性乳酸菌の働きでできますので発酵食です。実は日本の寿司も発酵食の仲間。元々は魚を発酵させた鮒ずしやなれずしが始まりです。

発酵飲料

日本酒、ビール、焼酎、泡盛、梅酒などのアルコール飲料のほか、甘酒や紫蘇ジュースなど。黒茶や紅茶などお茶の中にも発酵、半発酵したものがあります。

一番手軽にできる発酵食は、野菜を塩もみするだけでできる漬け物。自然塩のミネラルと乳酸発酵によって旨みと味わいが増すので、地野菜を使った郷土の味や各家庭の味が生まれます。

海外から見れば日本の「麹発酵」は珍しく、日本酒などの醸造技術も世界で高い評価を受けています。今や北欧を中心に、西洋料理にも多様な発酵食を取り入れるスタイルのお店が増えました。日本国内でも健康の面から自然食が見直されてきましたので、食材にこだわった発酵食品を扱うお店も増えてきました。

豊富な食材が集まる水運の要所 千葉県佐原の発酵文化

水郷の町さわらの風景

日本列島にはその土地の土壌や気候に合わせた様々な食文化があります。

東京駅からバス一本で到着、ここ千葉県香取市佐原は、むかし江戸時代に利根川水運の要所として栄えた商家町。豊かな水脈に恵まれ作物がよく育ち、関東一の米どころであった北総都市の賑わいは当時の江戸をしのぐほどでした。

良質な米でできる日本酒や酒粕、大豆と塩と麹でできる味噌や醤油といった醸造業が発展。地元産の食材と発酵食へのこだわりは、歴史を重ねるごとに磨かれていきました。

千葉のおいしい発酵食材を求めて散策3スポット

全国初「発酵」をテーマとした道の駅

道の駅 発酵の里こうざきのサムネイル

千葉県神崎町にある「発酵の里こうざき」は、地元食材を中心に発酵食品や関連食材が約400種類以上あります。

道の駅 発酵の里こうざき

所在地 千葉県香取郡神崎町松崎855
問合せ TEL 0478-70-1711
公式サイト https://www.hakkounosato.com/

日本最大級のマッシュルームの産地

芳源マッシュルーム

菌類という観点からキノコもご紹介。国内シェア1位を誇る香取の「芳源マッシュルーム」は、肉厚で濃厚な香りの味わいあるマッシュルームです。千葉を代表する名産品です。大きさが10センチ以上にもなるギガマッシュルームがメディアに取り上げられ人気を博しています。

芳源マッシュルーム

所在地 千葉県香取市米野井938-1
問合せ TEL 0478-70-7515
公式サイト https://www.ymush.co.jp/

白みりん発祥の千葉県 老舗酒造の最上白味醂

馬場本店酒造の外観

馬場本店酒造は約340年前、天和年間(1681~1683年)に麹屋から始まった酒蔵です。蔵出しの日本酒のほか、昔ながらの製法を守り続けている「最上白味醂」も有名。一般的な醸造用糖類は使わず、もち米と手作り麹のみで作った逸品です。

株式会社 馬場本店酒造

所在地 千葉県香取市佐原イ614-1
問合せ TEL 0478-52-2227
公式サイト http://www.babahonten.com

発酵フレンチと蔵元直送の日本酒が楽しめる酒蔵レストラン

佐原商家町ホテル NIPPONIAの極上フレンチと地酒のマリアージュ

佐原のまちに点在する町屋や古民家をリノベートした分散型ホテル「佐原商家町ホテル NIPPONIA」が2018年3月にオープン。2021年には、先述の「馬場本店酒蔵」所有の南蔵を改装し、フロントとレストランが入るKAGURA棟として生まれ変わりました。元々フロントがあった場所、忠敬橋の袂にあるGEISHO棟はカフェとして引き続き営業しています。

地域食材を追い求めたどり着いた発酵フレンチ

レストランルアンのお料理は、千葉の銘柄牛や魚介、野菜など選りすぐりの旬食材に加え、味噌や醤油・麹・酒粕など、こだわり抜いた発酵や熟成食材をフレンチに取り入れています。ここでしか味わえない「発酵フレンチ」と蔵元直送の日本酒とのペアリングもお楽しみいただけます。

オープンから5周年を記念しまして、今ならお得なランチ・ディナーをご用意しております。この機会にぜひお立ち寄りくださいませ。

【千葉 佐原】佐原商家町ホテル NIPPONIA

所在地:千葉県香取市佐原イ1708-2 KAGURA棟
問合せ TEL 0120-210-289 VMG総合窓口(11:00~20:00)
公式サイト:https://www.nipponia-sawara.jp/

いかがでしたか。日本人にとって身近すぎて意外に知らなかった発酵の力。温かいお味噌汁を飲むとほっとするのはそのせいでしょうか。日々の食事に、身体にいい発酵食を取り入れるのはもちろん、各地にある様々な発酵食を取り入れるために、食旅に出かけてみるのもいいですね。