新しい年を迎えたら神社やお寺に初参りをする人は多いのではないでしょうか。旧年の感謝と新年の平安無事を祈る初詣は、今では信仰の有無に関わらず、日本の慣習として定着しました。
日本では古来より、万物に神様が宿る「八百万の神」という考えがあり、神仏習合の歴史も長く、どの神社またはお寺に詣でても構わないといいます。お参りする際の作法には厳格なきまりはありませんが、基本的なことだけでも覚えておくといいでしょう。
今回はお正月の行事「初詣」の基礎知識と、神社仏閣の参拝方法をご紹介します。
初詣の起源と由来
初詣の起源は「年籠り(としごもり)」という風習からはじまりました。大晦日の夜から元旦(元日の朝)まで年籠りをして年神様を迎い入れたそうです。
神社の「年籠り」はいつしか、大晦日の「除夜詣(じょやもうで)」と、年明けの「元日詣(がんじつもうで)」にわかれていきました。江戸時代になり庶民の間でも詣でる風習が広がっていったようです。
江戸時代の頃は旧暦(月の満ち欠けが基準)で年越しの日が決められていました。立春に一番近い新月の夜は、大晦日から元日になる一年で最も大切な日。 陽が昇ると神社仏閣にいる年神様に会いにいったのが、初詣の原型とも考えられています。
新月は隠れて見えないので月隠(つきごもり)といい、晦(つごもり)、晦日(みそか)ともいいます。
➡ その年の最後の新月 = 大晦日
➡ その新月が明けた日 = 元日
また、大晦日から元旦をまたいで参拝することを「二年参り」といい、今では初詣の形式のひとつとなっています。
初詣はいつまでに行くといい?
「初詣」とは、新しい年に初めて社寺にお参りすることをいいます。いつ行くかは決まりはありませんが、旧年の感謝と新年の祈願をするので早い方がいいとされています。社寺の行事に合わせていくのもひとつです。
昔からのいわれでは、初詣は年明けの「元旦(=元日の朝)」または「三が日」のうちに行くと良いとされていますが、お正月中の「松の内」までに行くのが一般的です。混み合いを避けるなら、1月中くらいまでを目途に行けば良いでしょう。
- 元旦
元日(1月1日)の朝。日の出から約3時間くらい。
- 三が日
元日(1月1日)、2日、3日のこと。
年神様が福をもって訪ねてくるといわれる三が日。三が日の間は家事や掃除など慌ただしい事は控えて穏やかに過ごすと、福が来て良い一年になるといわれています。
- 松の内
1月1日~7日または15日までのこと。
松の内とは年神様の案内のため門松や松飾りを飾っておく期間。関東では7日までとするところが多いですが、本来は年神様を見送る1月15日(小正月)までをいいます。松の内が明けたら鏡開きをして供物の恩恵をあずかり、日常へと戻ります。
- 1月中くらい
季節が変わる前、立春になる前(節分)までに。または旧正月に合わせて参拝する場合もあります。
基本的な参拝方法・マナー
初詣は神社に出向く人が多いですが、お寺にも参拝できます。それぞれ社寺の参拝の方法が少し異なりますので、基本的な作法を確認しておきましょう。
神社
【一】鳥居~参道
鳥居は神聖な領域の境界線。会釈をしてくぐります。参道を歩く時は、真ん中ではなく左右どちらかの端に寄って進みます。参道のわきにある「手水舎」で身を清めます。
【二】神前
神前に来たら会釈をしてお賽銭を入れます。鈴がある場合は縄を両手で持って鳴らします。
【三】参拝
① お辞儀を2回
② 柏手を2回
③ 合掌して祈願する
④ 最後にお辞儀を1回
神前のお辞儀は、手を重ねない日本式です。手は腿の前から膝頭に自然に降ろしましょう。
柏手(かしわで)とは、拍手するようにパンパンと手を打ち鳴らすこと。この「二礼二拍手一礼」にこだわらない神社もあるようです。
お寺
【一】山門~参道
山門も神聖な領域への入口。一礼して敷居は足で踏まないようにまたぎましょう。参道を進み「手水舎」では神社と同じやり方でで身を清めます。「常香炉(じょうこうろ)」が設置されているお寺では煙を体にあてるようにして清めます。
【二】お堂前
お堂の前に来たら会釈をしてお賽銭を入れます。鈴がある場合は縄を両手で持って鳴らします。
【三】参拝
① お辞儀を1回
② 合掌して祈願する
③ 最後にお辞儀を1回
お寺では柏手はたたかずに静かに合掌します。参拝にお焼香やお線香を手向けるお寺もあります。
「手水舎」での身の清め方
- 右手でひしゃくを持って水をとり、左手を清める
- 左手にひしゃくを持ち替え、右手を清める
- 右手にひしゃくを持ち替え、左手に水を受けて口をすすぐ
- 左手をもう一度清める
- ひしゃくを立てて柄を流し清めから、元の場所に戻す
今回は基本的な参拝方法をご紹介しましたが、それぞれの社寺によって異なる場合もありますので、参拝先の誘導に従って行ってくださいね。
初詣に行く社寺の選び方
初詣にはどの神社やお寺に行くかは、各家庭や個人によって様々です。信仰というものは個人の信じるものですので、本来は自由に選んで構わないものです。でもどこに行くか迷われた場合は以下を参考に決めてみてはいかがでしょうか。
忌中の方は華やかな行事は控えますので、一般的には神社への参拝は避けるようです。仏教は死を穢れとは捉えないためお寺へのお参りはされる方もおられるようです。
- 氏神様や菩提寺
自分が住んでいる地域にある社寺のこと。または先祖代々から受け継ぐ宗派の社寺とする場合もあります。
- 恵方にある社寺
江戸時代から「恵方参り」という方法があります。福徳を司る神様は毎年違う方角にいて、自宅からその方角にある社寺にお参りすると運気が上がるといわれています。節分で恵方巻を食べる時に向く方角です。
- 願い事に合わせたご利益と功徳
それぞれの神様仏様には役割や得意分野があります。商売繁盛、合格祈願、恋愛成就など、願い事に合わせてご利益のある社寺を選ぶといいでしょう。
私たちは願いを成就するために、何か人知の及ばない力を信じて祈ります。神様や仏様に祈願するときは、1つの願いを誓いを立てるようにすると叶いやすくなるといいますよ。これまでの感謝と謙虚な気持ちで、未来を想い願い手を合せましょう。
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