日本のブランド牛のルーツとも言える但馬牛その歴史とおいしさの秘密に迫る

兵庫県但馬地域で飼育されていた但馬牛は、現在の和牛のルーツと言われ、もともとは田畑を耕したり荷物を運んだりする「役牛」として飼育されていました。そんな但馬牛が現在のブランドビーフの礎を築いたことは、実はあまり知られていません。今回は、但馬牛の魅力についてご紹介します。

1 地元農家とともに歩んできた但馬牛のルーツ
2 世界が認めた「但馬牛・神戸ビーフ」
3 現代のブランド牛のルーツは「純血の但馬牛」
4 上質なサシが但馬牛の美味しさのヒミツ
5 但馬牛のおいしさを余すことなく味わえる「レストランルアン」

地元農家とともに歩んできた但馬牛のルーツ

今でこそブランド牛としてその名が知られていますが、そのルーツは人々が牛肉を食べ始めるよりもはるか昔にさかのぼります。

1300年ほど前、平安時代の続日本書紀に「但馬牛は耕運、牛車をひく、食用に適する。」との記述があり、当時から役牛としてだけでなく食用としても重宝されていたことが伺えます。

兵庫県北部の但馬地方は、日本海側から山間部が続き、平野が少なく、狭い棚田が多いため、小柄な体型でありながら丈夫であった但馬牛は重宝され、田畑を耕したり、荷物を運んだりと農家にとって欠かせない存在でした。

世界が認めた「但馬牛・神戸ビーフ」

日本人が牛肉を食べるようになったのは、江戸時代の終わり頃。今から約150年前と言われています。ペリーが船内で食糧として鶏と牛を求めたことをきっかけに、開港された港町を中心に現代の洋食文化が生まれました。

文明開化の勢いにのって、日本人の食生活が大きく変化を遂げた時期。そして但馬牛の美味しさは国内にとどまらず、神戸の外国人居留地に住む外国人たちや神戸を訪れた船員たちの口から「神戸で食べた美味しい牛肉」＝「KOBE BEEF」と呼ばれるようになり、国際的に神戸ビーフの名が広まったとされています。当時から美味しいものは口コミで広がっていたんですね。

現代のブランド牛のルーツは「純血の但馬牛」

但馬牛が優れた血統である理由は、他府県牛との交配を一切絶つ閉鎖育種を実施したことにあります。このため、どの和牛よりもルーツが明瞭で純粋な血統の牛を生産する仕組みが確立されたのです。

このように大切に育てられた但馬牛ですが、但馬地方にとどまらず全国のブランドビーフのルーツとして今日に至るには江戸末期、前田周助という人物により似通った資質を持つ優れた血統の牝牛の集団「蔓牛」を形作られたことが始まりです。

各地へ送られた「蔓牛」によって生まれたのが、松坂牛や近江牛などの国内で高い評価を得ているブランドビーフなのです。また、純潔を守るため但馬牛（たじまうし）は、江戸時代から純潔の血統を守り続けている兵庫県産の神戸肉流通推進協議会の指定登録生産者が兵庫県内で肥育し、県内の食肉センターに出荷した生後28か月令以上から60ヶ月令以下の歩留等級が「A」または「B」等級の牛肉の呼称です。但馬牛の中でも最上のA4 ～A5ランクのものが「神戸ビーフ」と呼ばれ、世界中に名を轟かせています。（帝神畜産HPより）