日本古来からある鵜飼(うかい)は、鵜(う)と呼ばれる鳥を使って鮎などの魚をとる伝統漁法です。今では夏の清涼に観覧船や鵜飼観賞ツアーなどが組まれるほど人気の観光になっています。
縄につながれた鵜がかわいそうという声も聞かれますが、実は飼われている鵜は鵜匠との信頼関係の上で成り立っている漁法だとか。「鵜飼」とはどんな漁法なのかご紹介いたします。
鵜飼の歴史
鵜飼漁の始まりは、古墳時代の出土品などから約1300年といわれています。古事記などの古い文献にも、江戸時代に鵜を使った漁が行われていたことが記されています。鵜が獲った鮎などの魚は、大名や貴族へ献上品として扱われていたようです。明治以降、生活の糧となる鵜飼漁は一度衰退しましたが、昭和の時代に観光資源化され現在にいたります。
鵜の生態と習性を活かした鵜飼
鵜は日本全国に生息しますが、温暖な地域を好むため西日本に多く見られます。カツオドリ目ウ科に分類され、光沢のある黒い羽毛に覆われています。河川や湖沼に棲むカワウと、海岸に棲むウミウなど数種類確認されており、鵜飼には全長約90㎝にもなるウミウが使われています。
狩り能力に優れた鵜は、潜水して捕らえた魚を丸のみにして喉にためておく習性があります。もし天敵が襲ってきたら素早くその魚を吐き出して飛んで逃げます。繁殖期以外ほとんど鳴かず、人にも懐きやすいため、鵜飼に使われるようになったといわれています。
また繁殖地で増えすぎた野生の鵜は、資源を食べつくしたり樹木を枯らす害鳥として扱われることがあります。捕獲した鵜を鵜飼に活用することは、共存、共生の観点においても打開策のひとつとして考えられます。
鵜匠と鵜は信頼関係の上に成り立っている
鵜匠家で暮らす鵜たちは、家族の一員として大切に扱われます。毎日コミュニケーションを取って愛情を注ぎ、丁寧に調教されます。野生の鵜の寿命は約5年に対して、鵜匠家の鵜は15〜20年も長生きするそうです。
ウミウは漁で獲った川魚をそのまま食べてしまうと体調を崩してしまうため、普段の餌はサンマ・トボウオ・ホッケなど海の魚を与えます。それを知ってか知らずか、鵜たちも漁では魚を飲み込まないよう心がけているというから驚き。鵜同士の連携プレーも必要というので、猟犬ならぬ漁鳥といっても過言ではありません。
鵜飼はそんなプロフェッショナルな鵜たちと鵜匠との信頼関係の上に成り立っている漁なのです。
日本三大鵜飼、大洲の合わせうかい
日本の漁業全般、後継者不足といわれますが、鵜飼漁も全国で十数か所残るだけになりました。日本三大鵜飼といわれる有名どころは、岐阜県長良川、大分県三隅川、愛媛県肱川。大洲の肱川は「合わせうかい」発祥の地。鵜匠船と屋形船(客船)を併走させて川下りをしながら行う鵜飼漁は、夏の風物詩となっています。
鵜匠船のかがり火に寄ってきた魚を、鵜たちが水しぶきをあげて捕える光景は迫力満点!鵜匠と鵜たちの息の合った熟練の技を、船上から間近に観られるのが「合わせうかい」の醍醐味です。
大洲の合わせうかい
漁期 例年6月1日~9月20日
場所 愛媛県大洲市 肱川
愛媛県大洲の鵜飼観覧・肱川遊覧
伊予の小京都といわれる大洲で、夏の涼を感じる大人の舟遊びはいかがですか。屋形船で涼風と飲食を楽しみながら、国内でも珍しい「合わせうかい」の観覧ができます。詳しくは以下URL、公式サイトにてご確認ください。
【愛媛 大洲】NIPPONIA HOTEL 大洲 城下町
屋形船を一艘貸切!夏の贅沢体験はいかがでしょうか。
大洲の鵜飼観覧ディナーのご案内詳細はこちらからどうぞ。
実施期間 例年6月~9月
所在地 愛媛県大洲市大洲378 OKI棟(ホテルフロント)
愛媛県大洲市大洲888 SADA棟(レストラン)
問合せ TEL 0120-210-289 VMG総合窓口(11:00~20:00)
公式サイト https://www.ozucastle.com/
古来から今に生きる伝統漁法「鵜飼」、いかがでしたでしょうか。
鵜の生態や習性を知ることで鵜飼の暮らしも見えてきます。自然と人、生き物が住み分けしながら共生していくためにも、後世に継承し、伝統を守っていくお手伝いができればと思います。