2024.8.12

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【レポート】祇園祭2024前祭「山鉾巡行」特別観覧席からの感動をお届け

VMG HOTELS & UNIQUE VENUESは2024年7月17日、祇園祭・前祭「山鉾巡行」の特別観覧席を設け、大勢のお客様をお迎えしました。最大の見せ場である辻廻し、山鉾を彩る今年の懸装品など、特別観覧席から観た山鉾巡行の魅力をレポートします。

町中の疫神を集め、祓い清める「山鉾巡行」

祇園祭の起源は平安時代に遡ります。869年、全国的に流行した疫病を鎮めるために、疫神怨霊を鎮める祭礼である祇園御霊会・祇園会(ぎおんえ)と称して始まった八坂神社の祭礼で、室町時代には現在のような山と鉾が登場し、15世紀中ごろには山鉾巡行がスタート。2009年に『京都祇園祭の山鉾行事』としてユネスコ無形文化遺産に登録されています。

そんな山鉾巡行の役目は“祓い清めること”。祇園祭は7月1日〜31日の1か月間に数々の神事が行われますが、前祭の17日夕方には八坂神社の神様が神輿に乗って御旅所へ移られるため、朝のうちに山鉾が神社周辺を巡行して疫神を祓い清めるのです。17日9:00に四条烏丸を出発し、四条通、河原町通、御池通の順に23基の山鉾が約2時間かけてゆっくりと進みます。

VMG HOTELS & UNIQUE VENUESの特別観覧席は河原町御池の西北、山鉾巡行を間近にで見ることができる特等席です。この日は薄曇りで日差しもやわらかく、ときおり吹き抜ける風に涼をとりながら公式ガイドブックを眺めていると、河原町通のほうからコンチキチン…と祇園囃子の音色が。「くじ取らず」として先頭を務める、お稚児さんを乗せた長刀鉾がやってきました。

鉾と町衆、観客の心が一つになる「辻廻し」

長刀鉾は地上から鉾頭までの全高がなんと約25メートル。見上げると鉾頭の大長刀が空に突き刺さっているかのようです。山鉾の背が高いのは空から降ってくる疫神を集めるためで、屋根の上に真木や松、杉、傘を疫神の依り代として掲げます。少しでも高く美しく、少しでも多くの疫神の気を引いて駆逐する、そんな意気込みが伝わってきます。

ほどなく長刀鉾が観覧席の手前で停まり、辻廻しの準備が始まりました。辻廻しは3つの交差点で行われる山鉾巡行の見せ場。車径約2メートルもある鉾の木製車輪は自動車のように右左折できないため、地面に割竹を隙間なく敷き詰めて水を撒き、その上で鉾を滑らせるようにして交差点を曲がるのです。

スローテンポだったお囃子がだんだん速くなり、音頭取りが「よーいとせ」と扇子を掲げると、総重量11トンを超える鉾がギシギシときしみながら向きを変えーー固唾をのんで見守っていた観客から拍手と歓声が起こりました。そして作法通りに3度目で方向転換ができると屋根の上の屋根方に笑顔がこぼれ、沿道からひときわ大きな拍手が。鉾を支える町衆と観客の心が一つになったように感動的な瞬間でした。

世情と多様性を美しく表現する“動く美術館

山鉾巡行のもう一つの楽しみは芸術品の数々です。山と鉾の四方に前懸や胴懸、見送、水引などの懸装品と呼ばれる染織物が掛けられていて、その芸術的価値の高さから“動く美術館”と称されていますが、「今年の懸装品は何か」という点も毎年の話題に。

2024年は辰年にちなんで龍が描かれた懸装品を選んだ山鉾が多く、中でも長刀鉾の豪華な見送には目を奪われました。龍が天に登る様子を描いたもので2005年、186年ぶりに新調された綴織です。目の前を鉾が通りすぎて小さくなっても、ずっと眺めていたいほど壮麗な見送でした。

また今年はパリ五輪に合わせて、函谷鉾の前懸は『モン・サン・ミッシェル』のゴブラン織で、下水引は1938年に寄贈された色彩豊かな手織綿『群鶏草花図』。

油天神山の水引はフランスの伝統的なタペストリー『ミル・フルール』を図案に2006年に新調された織物で、鮮やかな水色のグラデーションと朱塗りの鳥居、紅梅が美しいコントラストを見せていました。

このように山鉾の懸装品には、日本の伝統を重んじながらも世界各地の美術が広く取り入れられています。また、近年は曳き方に外国人の姿も増えました。「多様性」が世界的に話題ですが、日本はすでに何百年も前から、多様な文化の調和を美しく表現してきた豊かな国なのです。

伝統を守り受け継ぐ精神に心からの敬意を

2024年7月17日に行われた祇園祭・前祭、山鉾巡行のレポートをお届けしました。河原町御池の特別観覧席では、辻廻しの興奮や“動く美術館”の美しさばかりではなく、棒振り囃子の迫力ある踊り、生き生きと動くからくり人形など、知る人ぞ知る山鉾巡行の魅力を余すところなく観覧できました。

応仁の乱によってほとんどの装飾品が焼失するなど、度重なる困難を乗り越え立ち上がってきた祇園祭の山鉾。今年は鶏鉾や蟷螂山がアクシデントに見舞われましたが、町衆が迅速に対応して事故もなく、つつがなく巡行を続けられました。守り受け継がれてきた伝統技術と知恵、そして町衆同士の助け合いの精神に、心からの敬意が溢れます。

すべての山鉾を見送ると、VMG HOTELS & UNIQUE VENUESのお客様は来た時と同じ冷房の効いたマイクロバスに乗って、大勢の観客が残る御池通を出発。身も心も清々しく晴れやかな気分でランチ会場へ向かい、山鉾巡行限定の特別ランチで夏の味覚を味わうひとときをお楽しみいただきました。

Information

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*2025年度のご案内は未定です。